第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度のわが国経済は、引き続き回復基調にあるものの、原油をはじめとする原材料価格高騰等により踊り場の状況で推移した。一方、当社の主たる営業基盤である東海地方の経済は、中部国際空港の開港・愛知万博の開催等大型プロジェクトに牽引され、堅調に推移してきた。

情報通信市場は、固定通信においては、NCC各社によるドライカッパを利用した直収電話サービスの開始やダークファイバを利用した光通信サービスへの参入、また、移動体通信においては、第3世代携帯(3G)の普及拡大や2006年の携帯電話番号ポータビリティサービス開始を睨んだ新規参入見込み等、通信事業者間のサービス・価格競争は一段と激化の様相を呈してきた。そのような中で、NTTグループにおかれましては、2010年をターゲットとした「中期経営戦略」を発表され、今後日本の通信網における光・IP化の方向性が具体的に示された。こうした情報通信市場における競争激化の下、NDSグループの主たる事業領域である通信建設市場を取巻く経営環境の変化は、ますますスピード感を増してきた。

このような経営環境において、NDSグループは、創立50周年を迎えた当連結会計年度を“第二の創業”元年と捉え、新企業理念および中期ビジョンを制定し、この達成を目指すべく、@通信インフラ工事事業の収益最大化、A第2の事業分野の確立、という中期基本戦略からなる平成16年度〜平成18年度中期経営計画「Attack50U」を策定し、具体的実行戦略として、@事業構造改革 A営業力・提案力強化Bブランド力の強化 C財務体質の改善、の4つの個別戦略を策定し各施策を実施してきた。

 

@事業構造改革

激変する経営環境下においても、お客様に充実したサービスを提供できる体制の確立を目的に、現場作業の効率化、施工管理業務のBPRを強力に推進してきた。具体的には、多様化する技術に対応するマルチ技術者の育成拡大、ワンストップ施工体制の推進、各種工具の改善開発、設計業務の作業時間短縮、受注から完成までの一元的なプロセス管理体制の構築等、全方位にわたる生産性向上施策を実施した。

A営業力・提案力強化

さらなる受注拡大による安定した経営基盤の構築を図るべく、組織横断的な機能として営業推進本部を設置し、当グループにおける営業体制の高度化を推進した。

また、ITによるソリューション営業を核としたNDS循環型ビジネスモデルの構築に向けて、高付加価値商品の開発を推進してきた。

新規ビジネスの開発においては、地元ベンチャー企業も視野に入れたアライアンス拡大などによりシーズのインキュベート施策を積極的に推進した。

Bブランド力の強化

NDSグループのブランドである「技術・品質」の維持・向上に向け、各種安全・品質関連施策の展開、既存技術の継承および新技術取得に向けた人材育成に注力した。

一方で、ISO9001・14001およびOHSAS18001の統合によるマネジメントの一元化を図ったほか、お客様からのさらなる信頼性向上を目指し、平成17年1月に情報サービス・IT部門においてISMSの認証を取得した。

また、平成17年4月施行の個人情報保護法を視野に入れた全社情報管理体制の再構築を行った。

C財務体質の改善

平成16年10月の厚生年金基金解散に伴い債務の削減を実施したほか、在庫圧縮等に努めた。

 

当連結会計年度の業績は、売上高が67,910百万円と前年同期に比べ965百万円(1.4%)の減収となった。利益面については、営業利益が2,381百万円と前年同期に比べ377百万円(13.7%)の減益、経常利益は2,550百万円と前年同期に比べ544百万円(17.6%)の減益、当期純損益は625百万円の損失となり、前年同期に比べ2,144百万円の減益となった。

 

事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。

@通信建設事業

主力であるNTT通信設備工事部門においては、光関連設備の需要集中地域における戦略的投資が一段落したこともあって、受注高は総額で53,652百万円と前年同期に比べ5,506百万円(9.3%)の減少、売上高は56,116百万円と前年同期に比べ953百万円(1.6%)の減収となった。

利益面については、コスト削減諸施策・施工効率化諸施策を継続的に実施したが、各通信事業者間の競争激化に伴うさらなるコスト圧縮要請および営業力・技術力の強化等の将来に向けた先行投資費用の増加もあって、営業利益は2,121百万円と前年同期に比べ627百万円(22.8%)の減益となった。

A情報サービス事業

既存のお客様への深耕営業および上流工程からの受注獲得による業容拡大により、売上高は5,154百万円と前年同期に比べ787百万円(18.0%)の増収となった。

利益面については、売上高の増加と、コスト削減諸施策の展開が相俟って、営業利益は36百万円と前年同期に比べ218百万円の増益で、黒字回復するに至った。

B住宅不動産事業

在庫圧縮施策の継続展開に伴い販売用物件が減少したこともあり、売上高は1,840百万円と前年同期に比べ2,004百万円(52.1%)の減収となった。

利益面については、コスト削減施策の展開のほか、販売用物件の減少に伴う販売促進費の減少もあって、営業利益は89百万円と前年同期に比べ126百万円の増益で、黒字回復するに至った。

Cリース他事業

積極的な営業展開により売上高は4,798百万円と前年同期に比べ1,204百万円(33.5%)の増収となった。

利益面については、価格競争激化および事業領域拡大のための先行投資もあり、営業利益は77百万円と前年同期に比べ99百万円(56.2%)の減益となった。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金および現金同等物(以下「資金」という)は6,276百万円となり、前連結会計年度末より984百万円減少した。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、前年同期に比べ支出が7,680百万円増加したことにより、資金は590百万円減少した。これは、厚生年金基金の解散に伴う不足額の補填のための特別拠出金3,663百万円をはじめ、退職金制度見直しによる諸費用の支出が売上債権の回収による収入を大幅に上回ったことによるものである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、前年同期に比べ支出が1,326百万円増加したことにより、資金は677百万円減少した。これは、投資有価証券の売却・償還による収入が減少したことに加え、リース事業の受注が順調に推移したことに伴い、賃貸資産への設備投資が増加したことによるものである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、前年同期に比べ支出が5,605百万円減少したことにより、資金は282百万円増加した。これは、前連結会計年度の減少の主な要因は50億円の社債償還資金で、当連結会計年度に発生した退職金制度見直しに伴う特別拠出金等の資金需要の一部は長期借入金で賄っている。

 

 

 

 

2 【受注高及び施工高の状況】

(1) 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別

事業の種類別

セグメントの名称

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期繰越高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち

施工高

(百万円)

前連結会計年度

(自 平成15年4月1日

至 平成16年3月31日)

通信建設事業

9,878

59,158

69,037

57,070

11,967

3,654

57,497

情報サービス事業

486

4,174

4,661

4,367

293

55

4,340

住宅不動産事業

654

3,282

3,937

3,845

91

3,842

リース他事業

1,163

3,945

5,108

3,592

1,516

10

3,592

12,182

70,561

82,744

68,875

13,868

3,720

69,273

当連結会計年度

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

通信建設事業

11,967

53,652

65,620

56,116

9,504

2,429

54,891

情報サービス事業

293

5,334

5,628

5,154

473

76

5,176

住宅不動産事業

91

1,967

2,058

1,840

216

1,840

リース他事業

1,516

4,861

6,377

4,798

1,580

7

4,794

13,868

65,815

79,684

67,910

11,774

2,513

66,703

(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。従って当期売上高にもかかる増減額が含まれる。

2 次期繰越高の施工高は個別進捗率により算出したものである。

3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高−前期繰越施工高)に一致する。

 

(2) 売上高

 

期別

事業の種類別

セグメントの名称

西日本電信電話株式会社

(百万円)

その他

(百万円)

合計

(百万円)

前連結会計年度

(自 平成15年4月1日

至 平成16年3月31日)

通信建設事業

37,355

19,714

57,070

情報サービス事業

4,367

4,367

住宅不動産事業

3,845

3,845

リース他事業

3,592

3,592

37,355

31,520

68,875

当連結会計年度

(自 平成16年4月1日

至 平成17年3月31日)

通信建設事業

37,077

19,039

56,116

情報サービス事業

5,154

5,154

住宅不動産事業

1,840

1,840

リース他事業

4,798

4,798

37,077

30,832

67,910

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

前連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度一宮エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 静岡支店

平成15年度静岡西部エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度名古屋中央エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度豊橋エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度刈谷エリアサービス総合工事

 

当連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 静岡支店

平成16年度静岡西部エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成16年度豊橋エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成16年度名古屋中央エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成16年度一宮エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成16年度刈谷エリアサービス総合工事

 

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。

 

前連結会計年度

 

 

西日本電信電話株式会社

37,355百万円

54.2%

 

 

 

当連結会計年度

 

 

西日本電信電話株式会社

37,077百万円

54.6%

 

(3) 手持高

手持工事は上記(1)のとおりであるが、その主なものは次のとおりである。

 

 

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

愛知総15−0951電気通信設備工事

平成17年9月完成予定

西日本電信電話株式会社 岐阜支店

岐阜総16−0203電気通信設備工事

平成17年9月完成予定

西日本電信電話株式会社 岐阜支店

岐阜総16−0301電気通信設備工事

平成18年3月完成予定

グローバルアクセス株式会社

 GAL国道23号名古屋〜四日市間光伝送路工事

 平成17年4月完成予定

西日本電信電話株式会社 三重支店

三重総16−0202電気通信設備工事

平成17年9月完成予定

 

 

3 【対処すべき課題】

NDSグループの主な事業領域である情報通信市場を展望すると、総務省が描く2010年に実現すべき新たな社会の姿「u−Japan(ユビキタスネット・ジャパン)」の実現過程において、ICT産業の果たす役割が大きく期待されている。また、NTTグループの「中期経営戦略」で 2010年3,000万光加入の方向性が示されたことにより、今後各種施策が具体化されるものと想定される。移動体通信分野においても、携帯電話番号ポータビリティに関連した新規参入により、新たな投資拡大が予測される。また、一方でこのような環境変化は通信建設業界へのさらなるコストダウン要請による受注価格の低廉化も予測され、NDSグループを取り巻く経営環境変化のスピードは、ますます加速するものと考えられる。

このような経営環境下において、お客様との信頼関係の維持向上により強固な経営基盤を構築するためには、@品質・価格・スピード・ソリューションといったお客様の要望に応えていくことで既存事業の収益力強化を図り、A第2の事業分野確立に向け、ソリューション・エンジニアリングによる新たなビジネスモデル構築を柱とした事業領域拡大および受注拡大に努めることが必須であると考えている。従って、新企業理念をベースとし昨年定めた中期ビジョンおよび中期経営計画「Attack50U(アタック50フェーズ2)」について、継続してその早期実現を図ることで、さらなる生成・発展を遂げていく所存である。

 

 中期ビジョン

『お客様との信頼関係の維持向上を図るため、より強固な経営基盤を構築する。』

目指すところ

連結売上高比率

第2事業分野シェア 50%

連結営業利益率

5%

連結ROA

7%

 

「Attack 50U」(平成16年度〜平成18年度中期経営計画)

中 期 基 本 戦 略

通信インフラ工事事業の収益最大化

抜本的なビジネスフローの見直し・施工効率の向上・技術力の向上により、

価格競争力強化・収益最大化を推進する。

第2の事業分野の確立

情報通信ネットワーク構築技術を核としたソリューション・エンジニアリングによる新たな受注環境の創出・既存事業の収益最大化により、NDSグループを支える第2の事業分野を確立し、より安定的な経営基盤を形成する。

 

「中長期的な経営戦略」の中期経営計画「Attack50U」に沿って、経営環境の変化に即応する形で個別戦略をローリング・バージョンアップし、次のとおり対処していく。

平 成 十 七 年 度 個 別 戦 略

事業構造改革

●施工能力の維持拡大

●管理間接費用・要員の徹底的な圧縮

営業力・提案力強化

●NCC各社からの受注高・売上高拡大

●NDS循環型ビジネスモデルの構築

●地域案件に対するバックヤード機能強化

●既存網メンテナンス事業分野の拡大

ブランド力の強化

●安全品質保証体制の強化

●ボトムアップ型の継続的な改善風土の醸成

●お客様情報および個人情報保護の徹底

●中核的人材の育成

財務体質の改善

●総資産の圧縮

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

 

特定の得意先との取引について

NDSグループは、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)からの受注が50%以上、NTTグループを含めれば65%強の依存率である。これは、NDSグループの強みである反面、NTTグループ各社の設備投資計画等、その動向の影響を極めて強く受ける。

  

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、情報通信ネットワークの急速なブロードバンド化の進展と近い将来のユビキタスネットワーク社会の到来が確実になりつつある動向を見据えて、IPネットワーク技術、光関連技術、無線技術、セキュリティ技術等の開発と先端技術修得を、関連企業、専門研究機関等と協調して継続的に進めている。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は44百万円(研究員5人)となっており、主な研究開発活動は次のとおりである。

 

(通信建設事業)

@IPネットワーク構築に関する企画、設計、施工及び管理技術の研究開発

仮想IPネットワーク構築技術(インターネットVPN/IP−VPN)、IPネットワーク上での音声通信に関する設備と方式技術(VoIPネットワーク構築技術)、ブロードバンド対応の画像通信やこれら「インターネット接続」「映像配信」「IP(光)電話」の3つのサービスを統合して提供する技術、ユビキタス社会の次世代インフラとなるIPD6に関する技術等の研究開発。

A情報通信に関するセキュリティ技術の研究開発

インターネットが経済社会活動のインフラとして深く、広く浸透し、用途も多様化し、個人情報の保護や認証システムのセキュリティ技術に関心が高まっている。この情報通信インフラを安全、確実、簡単に活用できるシステムとし、安定的に稼動させるための暗号化、認証系サーバ、ファイアウォール等のネットワークセキュリティ技術の研究開発。

B無線通信技術に関する研究開発

ユビキタス社会の中核技術をなす無線技術については高速無線方式、無線LAN、RFID(無線ICタグ)等の研究開発。

 

(情報サービス事業、住宅不動産事業及びリース他事業)

研究開発活動は特段行われていない。

 

なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

NDSグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、前連結会計年度と同一の基準に従って作成している。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

NDSグループの当連結会計年度の経営成績は、売上の80%を占める通信建設事業において、主力であるNTT通信設備工事部門の光関連設備の需要集中地域における戦略的投資が一段落したこともあって、売上高は減少した。

利益面については、コスト削減諸施策・施工効率化諸施策を継続的に実施したものの、各通信事業者間の競争激化に伴う強力なコスト圧縮要請及び営業力・技術力の強化等の将来に向けた先行投資費用の増加もあって減少した。また、平成16年10月の厚生年金基金の解散を機に退職金制度を大幅に見直し、適格退職年金等の一部を確定拠出年金制度に移行したことに伴い、特別損失として退職金制度改革費用を計上したことにより、当期純損益は損失となった。

 

(3) 経営成績に重要な影響を受ける要因について

NDSグループを取り巻く事業環境は、NTTの「中期経営戦略」実現へ向けた設備投資の増額が予想される反面、各通信事業者間の競争激化に伴うコストダウン要請も顕著になると想定される。そのため、現場部門では施工作業の効率化と技術者一人一人のスキルアップ、管理間接部門では経費の徹底的圧縮を図る等、目標利益の確保に向けて邁進することとしている。

 

(4) 基本戦略の取り組み

NDSグループの生成・発展のためには、NTT通信インフラ工事事業の収益最大化を図る一方で、営業力・提案力の強化を図り、ソリューション・エンジニアリングを推進し、提案営業から設計・施工・保守までの循環型ビジネスモデルを構築して、NTT通信インフラ工事に匹敵する事業分野にすべく、将来に向けての先行投資を予算化し、全グループ一丸となって取り組むこととしている。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

営業活動によるキャッシュ・フローでは、厚生年金基金の解散に伴う不足額の補填をはじめとする退職金制度の見直し関連で50億円の支出があり、トータルで5億円のマイナスとなったが、今後の費用負担は大幅に減少する。

一方、投資活動によるキャッシュ・フローでも、投資有価証券の売却・償還額減少によりマイナスとなったが、退職金制度見直し関連費用は極力現金及び現金同等物で賄い、借入金を必要最低限に留めた。