第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社、以下「NDSグループ」という。)を取り巻く情報通信業界は、情報通信社会のブロードバンド化の進展と、さらなる情報通信技術の高度化・モバイルネットワークの多様化等によって、「いつでも・どこでも・だれとでも」データのやりとり・会話が可能なユビキタスネットワーク社会の実現にまた一歩近づいたといえる。

このような経営環境下において、NDSグループは平成16年5月に迎えた当社創立50周年を第二の創業期として捉え、これに向かってさらにIT・IP技術力の向上、営業力強化を図り、より積極的な市場開拓・事業領域拡大を目指す「攻めの戦略」を実行することを基本コンセプトとする中期経営計画「Attack50」を策定し、これをベースに5つの経営方針を掲げ諸施策を実施してきた。

@コスト構造改革

工事請負単価の低廉化への対応と同時に、さらなる価格競争力の強化を図るべく、工事系グループ会社施工体制の一部について再構築を実施した。また、昨年度展開したサバイバル21のコスト削減策を中心として当期においても継続展開し、一層の固定費圧縮に努めた。

A受注拡大

既存のお客様以外からの受注をより一層拡大すべく、新規事業の開発・試行実施を行うことを主なミッションとする事業開発推進本部を設置した。また、昨年度設置した各事業部門へのIT関連案件のサポートを行うIT本部の機能強化を行い、各地域における自治体・企業等からの受注拡大を積極的に推進した。

さらに、平成16年4月には、マーケティング推進機能強化・お客様情報管理機能強化等によるグループ営業体制の再構築を目的に営業推進本部を設置した。

Bブランド力強化

技術力のさらなる強化に向けて、各種国家試験・ベンダー資格を取得するなど、技術者教育を積極的に推進した。また、昨年度導入した、NDSセキュリティーポリシーを実践・徹底し、グループ内機密情報の外部への漏洩防止に努めた。

さらには、法令遵守ならびに企業論理を高めることにより、さらなる社会的信用を向上すべく、コンプライアンス経営に向けた体制を強化した。

C業務の効率化・財務の健全化

業務の効率化については、光関連工事の施工効率向上施策を中心に具現化・実践した。

また、財務の健全化については、住宅部門の在庫圧縮を推進するなど、総資産圧縮に努めた。

D社内の活性化

社員のモチベーション向上による生産性向上を主眼に置き、平成15年3月に移行した成果重視型人事制度の定着を図った。

 

当連結会計年度の業績は、売上高が68,875百万円と前年同期と比べ5,129百万円(8.0%)の増収となった。利益面については、営業利益が2,759百万円と前年同期と比べ2,061百万円(295.1%)の増益、経常利益は3,094百万円と前年同期と比べ2,350百万円(315.9%)の増益、当期純利益も1,519百万円と前年同期と比べ1,089百万円(253.9%)の増益となった。

 

    事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。

@通信建設事業

主力であるNTT通信設備工事部門において、光関連設備等の大容量通信インフラ設備に対する設備投資を、需要集中地域において積極的に推進されたことと、昨年より取り組んできた光関連工事の施工効率向上施策の具現化・実践による増収効果もあって、受注高は総額で59,158百万円と前年同期と比べ10,737百万円(22.1%)の増加、売上高は57,070百万円と前年同期と比べ4,842百万円(9.3%)の増収となった。利益面については、光関連に重点を置いたNTTグループ各社等の積極的な設備投資による売上高の増大、昨年度から継続実施中のコスト削減諸施策・施工効率化施策の相乗効果により、営業利益は2,748百万円と前年同期と比べ2,168百万円(374.0%)の増益となった。

A住宅不動産事業

積極的な営業活動を展開した結果、売上高は3,845百万円と前年同期と比べ302百万円(8.5%)の増収となった。利益面については、販売促進に伴う原価率アップ等により、営業損失は36百万円と前年同期と比べ111百万円の減益となった。

B情報サービス事業

既存のお客様への深耕営業の成果、ならびに前期から繰越した大型開発案件の完成もあり、売上高は4,367百万円と前年同期と比べ132百万円(3.1%)の増収となった。利益面については、コスト削減諸施策の展開により若干改善したものの、営業損失は181百万円と前年同期と比べ15百万円の増益となった。

Cリース他事業

事業会社の設備投資が回復基調に入ったものの、売上高は3,592百万円と前年同期と比べ148百万円(4.0%)の減収となった。利益面については、固定費の削減効果等により、営業利益は176百万円と前年同期と比べ43百万円(32.3%)の増益となった。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ2,407百万円増加し、当連結会計年度末には7,260百万円となった。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動により得られた資金は7,090百万円と、前連結会計年度に比べ5,212百万円の増額となった。これは、税金等調整前当期純利益、退職給付引当金、賞与引当金が増加し、売上債権の増加による減少を上回ったためである。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により得られた資金は649百万円と、前連結会計年度に比べ2,326百万円の増額となった。これは、投資有価証券の取得・売却による純収入が増加したためである。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動に使用した資金は5,323百万円と、前連結会計年度に比べ4,276百万円の支出増となった。これは、社債の償還による支出が発生したためである。

 

 

2 【受注高及び施工高の状況】

(1) 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別

事業の種類別

セグメントの名称

前期

繰越高

(百万円)

当期

受注高

(百万円)

(百万円)

当期

売上高

(百万円)

次期繰越高

当期

施工高

(百万円)

手持高

(百万円)

うち

施工高

(百万円)

前連結会計年度

(自 平成14年4月1日

至 平成15年3月31日)

通信建設事業

13,685

48,420

62,106

52,227

9,878

3,226

50,395

住宅不動産事業

233

3,964

4,198

3,543

654

3

3,530

情報サービス事業

639

4,081

4,721

4,234

486

81

4,276

リース他事業

1,529

3,374

4,904

3,740

1,163

10

3,696

16,087

59,841

75,929

63,746

12,182

3,322

61,898

当連結会計年度

(自 平成15年4月1日

至 平成16年3月31日)

通信建設事業

9,878

59,158

69,037

57,070

11,967

3,654

57,497

住宅不動産事業

654

3,282

3,937

3,845

91

3,842

情報サービス事業

486

4,174

4,661

4,367

293

55

4,340

リース他事業

1,163

3,945

5,108

3,592

1,516

10

3,592

12,182

70,561

82,744

68,875

13,868

3,720

69,273

(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。従って当期売上高にもかかる増減額が含まれる。

2 次期繰越高の施工高は個別進捗率により算出したものである。

3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高−前期繰越施工高)に一致する。

 

(2) 売上高

 

期別

事業の種類別

セグメントの名称

西日本電信電話株式会社

(百万円)

その他

(百万円)

合計

(百万円)

前連結会計年度

(自 平成14年4月1日

至 平成15年3月31日)

通信建設事業

31,642

20,585

52,227

住宅不動産事業

3,543

3,543

情報サービス事業

4,234

4,234

リース他事業

3,740

3,740

31,642

32,104

63,746

当連結会計年度

(自 平成15年4月1日

至 平成16年3月31日)

通信建設事業

37,355

19,714

57,070

住宅不動産事業

3,845

3,845

情報サービス事業

4,367

4,367

リース他事業

3,592

3,592

37,355

31,520

68,875

 

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

前連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成14年度名古屋中央エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 静岡支店

平成14年度静岡西部エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成14年度豊橋エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 岐阜支店

平成14年度岐阜エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成14年度刈谷エリアサービス総合工事

 

当連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度一宮エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 静岡支店

平成15年度静岡西部エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度名古屋中央エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度豊橋エリアサービス総合工事

西日本電信電話株式会社 名古屋支店

平成15年度刈谷エリアサービス総合工事

 

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。

 

前連結会計年度

 

 

西日本電信電話株式会社

31,642百万円

49.6%

 

 

 

当連結会計年度

 

 

西日本電信電話株式会社

37,355百万円

54.2%

 

(3) 手持高

手持工事は上記(1)のとおりであるが、その主なものは次のとおりである。

 

西日本電信電話株式会社 

名古屋支店

愛知総15−0951電気通信設備工事

平成17年2月完成予定

株式会社エヌ・ティ・ティ・ネオメイト名古屋支店

 中部国際空港株式会社情報通信ネットワーク工事

 平成17年3月完成予定

西日本電信電話株式会社 

名古屋支店

愛知総14−1201電気通信設備工事

平成16年10月完成予定

西日本電信電話株式会社 

岐阜支店

岐阜総15−0202電気通信設備工事

平成16年11月完成予定

ソフトバンクBB株式会社

 「東海地区」NTT局舎内DSL設備工事

 平成16年4月完成予定

 

 

 

3 【対処すべき課題】

 NDSグループの主な事業領域である情報通信市場を展望すると、情報通信社会の技術・市場構造の変化に伴い、主要なお客様である各通信事業者の設備投資は、固定電話網などの従来型通信設備に対しては減少傾向が続く一方、光アクセスサービスをはじめとするプロードバンド型通信設備に対しては増加していくものと想定される。

 しかしながら、各通信事業者は、ユーザー獲得に向けてサービスの多様化・低価格化両面での差別化による市場競争力の強化を図られており、NDSグループにおいては、今後いかに「品質面」「価格面」「スピード面」「課題解決面」において、それぞれのお客様に対し応えていけるかが大きな課題である。

 また、さらなる受注拡大のためには、NDSグループの強みである情報通信ネットワーク構築技術を核としたソリューション・エンジニアリングにより新たなビジネスモデルを創出するなど、より安定的な経営基盤の形成に向けた取り組みがこれまで以上に重要となっている。

 このような経営環境下において、本年5月にNDS創立50周年・第二の創業元年を向かえ、この第二の創業元年にあわせ制定した新たな企業理念のもと、中期ビジョンについても新たに策定し、企業理念に掲げられた理想に向かって邁進していく所存である。

 また、昨年定めた中期経営計画「Attack50」のローリング・バージョンアップ版として、@通信インフラ工事事業の収益最大化、A第2の事業分野の確立 の2つを基本戦略とする新中期経営計画「Attack50U」(平成16年度〜平成18年度)を新たに策定した。

 この新中期経営計画の各種施策を着実に実行することにより、中期ビジョンを早期に実現し、さらなる生成・発展を遂げていく所存である。

 

中期ビジョン

 『お客様との信頼関係の維持向上を図るため、より強固な経営基盤を構築する。』

目指すところ

連結売上高比率

第2事業分野シェア 50%

連結営業利益率

5%

連結ROA

7%

 

新中期経営計画Attack50U

中期基本戦略

通信インフラ工事事業の収益最大化

 抜本的なビジネスフローの見直し・施工効率の向上・技術力の向上により、価格競争力強化・収益最大化を推進する。

第2の事業分野の確立

 情報通信ネットワーク構築技術を核としたソリューション・エンジニアリングによる新たな受注環境の創出・既存事業の収益最大化により、NDSグループを支える第2の事業分野を確立し、より安定的な経営基盤を形成する。

 

 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

 

(1) 特定の得意先との取引について

  NDSグループは、西日本電信電話株式会社(NTT西日本)からの受注が50%以上、NTTグループを含めれば65%強の依存率である。これは、NDSグループの強みである反面、NTTグループ各社の設備投資計画等、その動向の影響を極めて強く受ける。

  

(2) 年金債務が営業損益に与える影響について

当社は、退職金制度として、退職一時金・適格退職年金・厚生年金基金の3制度を有しているが、平成12年度の退職給付会計の導入による年金等のオンバランス化により多額の不足額を認識するに至った。これは、当社の基金設立が昭和45年と歴史が古いこと、それにより受給者・待期者数が現役の加入者と拮抗し、今後は永続的に受給者が加入者を上回ること、及び、社員の福利厚生との位置づけもあり債務が多額に膨らんだこと等により、営業損益に及ぼす影響は看過できない状況となっている。

従って、今後この退職金制度の見直しによっては、未認識の過去勤務費用の発生、不足額の現金による補填に伴うキャッシュ・フローへの影響、それによる特別損失の発生が生じる可能性がある。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項なし。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当期の研究開発活動は、情報通信の世界がブロードバンド時代を迎え、FTTH、モバイル通信が急速に浸透し、ユビキタスネットワーク社会の実現が具体的になりつつあるなか、この動向に対応して、IPネットワーク技術、光関連技術、無線技術、ホームネットワーク技術、セキュリティ技術等の開発と先端技術の修得を、関連企業、専門研究機関等と協調して進めている。

なお、当期における研究開発費の総額は、57百万円(研究員6人)となっており、主な研究開発活動は次のとおりである。

 

(通信建設事業)

@IPネットワーク構築に関する企画、設計、施工及び管理技術の研究開発

VoIPによるIPネットワーク上での音声通信、ブロードバンド対応の画像通信やユビキタス社会の次世代インフラとなるIPv6に関する技術の研究開発。

A情報通信に関するセキュリティ技術の研究開発

インターネットが商用化されて10年が経ち、インターネットが事業に生活に浸透し社会基盤インフラとして活用され、用途も多様化してきている。これらのネットワークを活用したシステムを安全に安定的に稼動させるための暗号化、認証、ファイアウォール等のネットワークセキュリティ技術の研究開発。

B無線通信技術に関する研究開発

ユビキタス社会の中核技術をなす無線LAN等の無線技術の研究開発。

 

(住宅不動産事業、情報サービス事業及びリース他事業)

研究開発活動は特段行われていない。

 

なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われていない。

 

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

NDSグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この財務諸表の作成にあたって、前連結会計年度と同一の基準に従って作成している。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

NDSグループの当連結会計年度の経営成績は、売上の80%を占める通信建設事業において、通信事業会社間の競争激化により、各社が収益確保のため通信インフラ設備に対する設備投資を積極的に推進された影響を受け、当初計画を大幅に上回り、数度の修正を加えたが、特に、下半期前半は近年にない超繁忙となった。

それに伴い、外注費の高騰による原価率アップが懸念されたが、前年度実施した転進支援制度による人件費削減、徹底した諸経費等の見直しによる固定費の圧縮により、前期比3.9倍の営業利益を確保し、業績は大幅に改善した。

 

(3) 経営成績に重要な影響を受ける要因について

NDSグループを取り巻く事業環境は、各通信事業会社による需要集中地域での設備投資が一段落することにより減少するものと予想され、NTTへの依存度が高い当社としては、工事の小規模化を施工効率とスキルアップにより利益の漸減の歯止めとしたい。

 

(4) 戦略的現状と見通し

NDSグループの生成・発展のためには、NTT通信インフラ工事事業の収益最大化を図る一方で、営業力・提案力の強化を図り、ソリューション・エンジニアリングを推進し、提案営業から設計・施工・保守までの循環型ビジネスモデルを構築して、NTT通信インフラ工事に匹敵する事業分野にすべく、将来に向けての先行投資を予算化し、全グループ一丸となって取り組むこととしている。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

NDSグループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より52億円多い70億円の資金を得ている。これは、退職給付引当金、賞与引当金の増加の他、税金等調整前当期純利益が大幅に改善したことによる。当連結会計年度は社債の期日到来による償還資金および自己株式の取得等の資金を必要とし、長期的な資金需給を考慮してシンジケートローンを取り組んだが、営業活動による資金の確保もあり、借入金の純増額は10億円弱に留めた。