第2 【事業の状況】

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、原油・素材価格の高騰など懸念材料はあったが、好調な企業収益を背景に設備投資が増加したことに加え、雇用情勢にも改善の兆しが見られ、景気は安定的な拡大基調で推移した。

当社グループの事業に大きく関係する情報通信分野においては、FTTH(Fiber To The Home)をはじめとするブロードバンド化の加速、PLC(Power Line Communications)サービスやNGN(Next Generation Network)のフィールドトライアル等、ユビキタスネット社会実現のための整備が着々と進められた。また、携帯電話番号ポータビリティ開始や、新規事業者の参入などにより、価格とサービスの両面で激しい利用者獲得競争が繰り広げられた。

このような事業環境のもと当社グループは、2006年度にスタートした中期(3ヵ年)経営計画で掲げた「通信建設におけるお客様のベストパートナーとしての基盤確立」「All Segment Plus(全部門黒字化)へ向けた基盤確立」「経営基盤確立(CSR(Corporate Social Responsibility)の定着化、経営の高度化)」という3つの基本戦略に基づき以下の諸施策を展開してきた。

 

<お客様別事業運営体制の構築>

通信事業者各社の事業展開に迅速に対応すべく、お客様別事業運営体制を整備するとともに、光アクセス技術者やIP(Internet Protocol)技術者の育成に加え、団塊世代の退職に備えたレガシー(伝統的)技術の継承等、施工技術の向上と施工能力の増強に努めた。また、高所作業車の計画的更新、支店社屋の建替等、生産性の向上・施工環境の改善にも注力した。

 

<事業領域の拡大>

名古屋駅前再開発における高層ビル内通信設備の総合施工監理や、三重県に建設された大型物流センターのLAN工事などを受注、完成したほか、移動体通信工事分野における複合無線技術者の育成にも注力し、通信建設事業の領域拡大に努めた。

 

<CSR経営の土台作り>

内部統制に係る基本方針をグループ全社で決議し、それに基づくコーポレートガバナンス体制やリスク管理体制を整備するとともに、NDSグループCSR憲章を制定し、グループ内へのCSR意識浸透に取り組んでいる。

 

上記施策を積極的に展開した結果、当連結会計年度の業績は、売上高が71,606百万円と前年同期に比べ4,991百万円(7.5%)の増収となった。利益面については、営業利益が1,821百万円と前年同期に比べ58百万円(3.3%)の増益、経常利益は2,017百万円と13百万円(0.6%)の増益、当期純利益は1,305百万円となり、前年同期に比べ681百万円(109.3%)の増益となった。

 

@通信建設事業

携帯電話番号ポータビリティ開始に伴う携帯電話事業会社の設備拡充などにより、受注高は総額で57,685百万円と前年同期に比べ577百万円(1.0%)増加した。売上高は58,854百万円と前年同期に比べ3,705百万円(6.7%)の増収となった。
 利益面については、光関連工事量の時期的・地域的偏重に対処するための稼動調達コストの増加や、複合無線技術者育成に伴う先行投資などにより、営業利益は1,373百万円と前年同期に比べ118百万円(7.9%)の減益となった。

 

A情報サービス事業

景気の拡大基調を背景として、受注は堅調に推移した。その結果、売上高は4,306百万円と前年同期に比べ188百万円(4.6%)の増収となった。
 利益面については、売上高の増加とコスト削減諸施策の展開が相俟って、営業利益は167百万円と前年同期に比べ52百万円(45.5%)の増益となった。

 

B住宅不動産事業

分譲マンション・分譲戸建の販売が順調に推移した。その結果、売上高は2,227百万円と前年同期に比べ234百万円(11.8%)の増収となり、営業利益は105百万円と前年同期に比べ92百万円(712.2%)の増益となった。

 

Cリース他事業

景気の拡大基調や民間の設備投資拡大に伴って、半導体製造装置の設置・保守事業、人材派遣事業などが好調に推移した。その結果、売上高は6,218百万円と前年同期に比べ862百万円(16.1%)の増収となり、営業利益は137百万円と前年同期に比べ43百万円(46.0%)の増益となった。

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3,269百万円減少し、4,641百万円となった。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動により支出した資金は、税金等調整前当期純利益は増加したものの、売上債権および棚卸資産が嵩んだこともあり62百万円の支出超となり、前年同期に比べ4,262百万円の資金減少となった。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動により支出した資金は、支店社屋建替え、高所作業車の更新などにより611百万円となったが、前年同期に比べ1,179百万円の資金増加となった。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動により支出した資金は、普通社債の償還および自己株の取得などにより2,595百万円の支出超となり、前年同期に比べ1,816百万円の資金減少となった。

 

2 【受注高及び施工高の状況】

(1) 受注高、売上高、繰越高及び施工高

 

期別
事業の種類別
セグメントの名称
前期
繰越高
(百万円)
当期
受注高
(百万円)

(百万円)
当期
売上高
(百万円)
次期繰越高
当期
施工高
(百万円)
手持高
(百万円)
うち
施工高
(百万円)
前連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
通信建設事業
9,504
57,107
66,611
55,148
11,462
3,282
56,001
情報サービス事業
473
3,765
4,238
4,117
120
54
4,095
住宅不動産事業
216
1,858
2,076
1,992
83
-
1,992
リース他事業
1,580
5,434
7,013
5,355
1,657
7
5,355
11,774
68,165
79,939
66,615
13,324
3,344
67,445
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
通信建設事業
11,462
57,685
69,148
58,854
10,294
3,299
58,871
情報サービス事業
120
4,342
4,463
4,306
156
61
4,313
住宅不動産事業
83
2,272
2,355
2,227
128
-
2,227
リース他事業
1,657
6,372
8,030
6,218
1,812
12
6,223
13,324
70,673
83,998
71,606
12,391
3,373
71,635

(注) 1 前期以前に受注したもので、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注高にその増減額を含む。従って当期売上高にもかかる増減額が含まれる。

2 次期繰越高の施工高は個別進捗率により算出したものである。

3 当期施工高は(当期売上高+次期繰越施工高−前期繰越施工高)に一致する。

 

(2) 売上高

 

期別
事業の種類別
セグメントの名称
西日本電信電話株式会社
(百万円)
その他
(百万円)
合計
(百万円)
前連結会計年度
(自 平成17年4月1日
至 平成18年3月31日)
通信建設事業
36,211
18,937
55,148
情報サービス事業
-
4,117
4,117
住宅不動産事業
-
1,992
1,992
リース他事業
-
5,355
5,355
36,211
30,404
66,615
当連結会計年度
(自 平成18年4月1日
至 平成19年3月31日)
通信建設事業
36,552
22,301
58,854
情報サービス事業
-
4,306
4,306
住宅不動産事業
-
2,227
2,227
リース他事業
-
6,218
6,218
36,552
35,054
71,606

(注) 1 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。

前連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 静岡支店
平成17年度静岡西部エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成17年度名古屋中央エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成17年度豊橋エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成17年度一宮エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成17年度刈谷エリアサービス総合工事

 

当連結会計年度 請負金額1億円以上の主なもの。

 

西日本電信電話株式会社 静岡支店
平成18年度静岡西部エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成18年度豊橋エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成18年度一宮エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成18年度名古屋中央エリアサービス総合工事
西日本電信電話株式会社 名古屋支店
平成18年度刈谷エリアサービス総合工事

 

2 売上高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。

 

前連結会計年度
西日本電信電話株式会社
36,211百万円
54.4%
当連結会計年度
西日本電信電話株式会社
36,552百万円
51.0%

 

(3) 手持高

手持工事は上記(1)のとおりであるが、その主なものは次のとおりである。

 

西日本電信電話株式会社
岐阜支店
岐阜総18−0302 電気通信設備工事
平成20年2月完成予定
西日本電信電話株式会社
岐阜支店
岐阜総18−0304 電気通信設備工事
平成20年1月完成予定
沖電気工業(株)
中部地区管内ETC設備工事
平成19年12月完成予定
西日本電信電話株式会社
岐阜支店
岐阜総18−1251 電気通信設備工事
平成19年10月完成予定
株式会社東芝 
B4P基地局新設工事(関東)
平成19年6月完成予定

 

 

3 【対処すべき課題】

少子・高齢化が進展する中で、経済や社会の維持発展のためには、社会経済基盤の強化が重要な課題のひとつとなっている。
 当社グループに大きく関係する情報通信分野では、ICT(情報通信技術)のさらなる発展が新しい市場や雇用を創出し、新たな経済活力の原動力になるものと考えられており、今後もユビキタスネット社会実現に向けて、より一層の情報通信基盤の整備が進められることが予想される。
 ブロードバンドサービスとしては、「インターネット」「IP電話」「映像配信」をセットで提供するいわゆる「トリプルプレイサービス」が拡がりをみせており、今後も拡大していくものと考えられる。移動体通信では通信の高速化に伴う携帯電話サービスの多様化、高度化が一層進展するとともに、FMC(Fixed Mobile Convergence)と呼ばれる固定電話と携帯電話の融合に向けての動きも活発化してくるものと思われる。また、次世代通信網(NGN)を使った新たな技術やサービスの出現や、これまでにないビジネスモデルやスキームが創出されていくことも予想される。
 そうした状況の中で当社グループの今後を展望すると、主力事業である通信建設事業においては、FTTHや無線設備などでのブロードバンドサービス拡大に向けた通信事業者各社の設備投資は当分の間続くことが見込まれるが、通信事業者間の激しい競争下において、受注価格の面で一層厳しさが増すものと予想される。
 また、企業の社会的責任(CSR)がますます問われる昨今、金融商品取引法(日本版SOX法)への対応に併せ業務プロセスの可視化・標準化による生産性の向上を図ることが求められている。
 このような環境のもと、当社グループでは、2007年度の経営施策として特に以下の点について重点的に取り組み経営基盤の確立を目指す所存である。

@収益力向上体制の構築と確実な施工推進
A新たな柱となる事業の早期確立
B安全確保と品質向上へのあくなき取り組み
C徹底的コスト削減策の推進
D中長期的視野に立った人材育成
Eグループ全体の受注拡大と事業の効率運営
FCSR経営の定着 

 

4 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがある。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。

 

(特定の得意先との取引について)

当社グループは、通信建設事業を主な事業としており、NTTグループ各社を主要取引先としている。これは、当社グループの強みである反面、技術革新等により情報通信サービスに対する設備投資動向が大きく変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。 

 

(CSRについて)

当社グループは、人身事故ゼロ・設備事故ゼロ・情報漏洩ゼロの企業理念を体現化するため、CSRの企業風土としての定着を目指し、グループ各社を含めた社員の教育研修等の実施により、お客様の満足のために信頼の技術と品質の提供をすることとしているが、万が一、重大事故・情報漏洩等不測の事態を発生させた場合、取引先はもとより社会的に大きな影響を与えるとともに、取引先からの入札指名停止や損害賠償責任等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性がある。

 

5 【経営上の重要な契約等】

特記事項なし。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度の研究開発活動は、ブロードバンドネットワークの急速な普及の中で通信ネットワークの光化、IP化が進展し、更にサービス品質やセキュリティを高めた次世代ネットワーク(NGN)のフィールドトライアルが実施されているなど技術環境が加速度的に変化している状況に対応して、事業展開に関連した研究開発と先端技術修得を、専門研究機関、関連企業等と協調して継続的に進めている。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、26百万円(研究員4人)となっており、主な研究開発活動は次のとおりである。

 

(通信建設事業)

@ネットワーク構築に関する企画、設計、施工及び管理技術の研究開発

IPネットワークでの音声通信に関する設備と方式技術(VoIPネットワーク構築技術)、ブロードバンド対応の映像配信(VOD)技術、「インターネット接続」「画像通信」「IP(光)電話」の3つのサービスを統合して提供する技術、ユビキタスネットワーク社会の実現を目指す統合IP網であるNGN構築技術とNGN上での新サービス等の研究開発。

A情報通信に関するセキュリティ技術の研究開発

現用の情報通信インフラを安全、安心、確実、簡単に活用できるシステムとして安定的に稼動させるための暗号化、認証システム、ファイアウォール等のネットワークセキュリティ技術の研究開発。

B無線通信技術に関する研究開発

ユビキタス社会の中核をなす高速無線技術、固定通信と移動通信の融合(FMC)、RFID(無線ICタグ)等の研究開発。

 

(情報サービス事業、住宅不動産事業及びリース他事業)

研究開発活動は特段行われていない。

 

7 【財政状態及び経営成績の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたって、役員賞与、貸借対照表の純資産の部の表示及びストック・オプション等の適用を除いて、前連結会計年度と同一の基準に従って作成している。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、通信建設事業において、主力であるNTT通信設備工事はほぼ横這いであったものの、携帯電話番号ポータビリティ導入に伴う移動体通信工事が好調であったことと、通信建設事業以外の情報サービス、住宅不動産及びリース他事業の受注も好調で、売上高は増収となった。

利益面については、光関連工事量の時期的・地域的偏重に対処するための稼動調達コストの増加や、複合無線技術者の育成に伴う先行投資があったものの、売上高の増収効果もあり、増益となった

 

(3) 経営成績に重要な影響を受ける要因について

当社グループは、NTTの設備投資動向に大きな影響を受けるが、当面、NTTグループが推進する「2010年光3000万」を基軸に堅調な増加が期待できる。その反面、通信事業者間の競争激化に伴うコストダウン要請が予想され、施工効率向上等の自助努力により吸収できない場合、原価率アップが懸念される。また、光アクセス技術者やIP技術者の育成に加え、団塊世代の退職に備えたレガジー(伝統的)技術の継承等、人材確保に係る経費も営業損益を圧迫する要因となる。

 

(4) 基本戦略の取り組み

当社グループの生成・発展のため、2006年度にスタートした中期(3ヶ年)経営計画において、「通信建設におけるお客様のベストパートナーとしての基盤確立」「選択と集中による全セグメントの黒字化へ向けた基盤確立」「CSRの定着化、経営の高度化による経営基盤の確立」という3つの基本戦略を掲げているが、平成19年度は中期経営計画の2期目にあたり、目標達成に向け、更なる『施策の推進の年』と位置づけ、具体的な諸施策を展開していくことにしている。

 

(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

営業活動によるキャッシュ・フローでは、税金等調整前当期純利益は増加したが売掛債権および棚卸資産が嵩んだことによる支出超過に加え、投資活動によるキャッシュ・フローでは、支店社屋の建替えおよび高所作業車更新等の設備投資への支出、財務活動によるキャッシュ・フローでも、自己株の取得および普通社債の償還と資金需要が活発で、手許資金と金融機関からの借入で賄った。平成19年度も支店社屋の建替え、内部統制システムの構築に係るソフトウェアへの投資が計画されているが、売掛債権の早期回収を徹底し、資金需給のバランス化・安定化を図りたい。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループを取り巻く事業環境は、主力事業である通信建設事業においては、FTTHや無線設備等でのブロードバンドサービス拡大に向けた通信事業者各社の設備投資は当分の間続くものと期待しているが、顧客獲得競争は益々激化し、受注価格面への影響は必至と思われる。このような環境に対し、施工効率の向上と徹底的コスト削減策を推進することとしている。

また、企業の社会的責任が問われている昨今、金融商品取引法(日本版SOX法)への対応に併せて、グループ全体の内部統制システムの構築と情報システムの一元化により、日常の業務の見直し、可視化・標準化により生産性の向上を図ることとしている。